ことばがなかなか出てこない、こちらからの働きかけに対し反応が悪いような気がする、他の子とくらべてことばの発達に遅れがあるのかもしれない…ことばの発達は、親としてどうしても気になってしまうことの一つです。
この記事では、ことばを話すために必要な4つの力をお伝えし、その4つのうちのどれかが欠けることで起こる子どもからのサイン、そして、ことばが遅れるとはどういう状態なのかを説明していきたいと思います。
ことばを話すために必要な4つのこと
ことばを聴き分ける「聴力」
ことばを理解し、はっきりした発音で話せるようになるためには、人が話すことばが聴こえているという前提が必要です。難聴の程度が重い場合は音に反応しないため小さなお子様でも気づかれやすいのですが、軽度から中等度の場合は、人の声に反応することができるので見過ごされやすく、語音が区別できていない状態だということに気づかれにくいということがあります。
子どもを産んだとき、新生児聴覚スクリーニング検査(ABR)をうけて問題ないと言われています。
ABRは難聴の有無をチェックする簡易的な検査なので、どの高さの音がどのくらいの音量で聴こえているかは判断することができません。
ことばの遅れを心配する場合は、まず聴覚に問題がないか調べてくださいね。
ことばの意味がわかる「理解力」
他者との関わり合いのなかで、ことばが蓄積され、ことばの意味が理解できようになってきます。
ことばは、「理解する」ことが先で「話す」ことはあと、という順序があります。
声を出して思い通りに音を作るための「発語力」
話すためには、唇や舌を自在に動かせる力が必要になってきます。唇や舌の動きは体の育ちに支えられています。1歳頃になると「パパ」「ママ」などパ行やマ行が言えるようになり、2歳頃になるとカ行が言えるようになってきます。また、ことばを正しく並べて発音するためには、音を聞き分け、音の配列を覚えるといった脳の成長(音韻発達)が必要です。
音韻発達が未熟だとどうなりますか?
「とうもろこし」を「とうもころし」に言い間違えたりします。
このような言い間違いは、音韻発達が伸びてくるとほとんど聞かれなくなってきます。
人と交流したいという「コミュニケーション意欲」
子どもはことばを話す前の段階から親とコミュニケーションをとっています。
目を合わせ微笑みあったり、指さされた方向を見て同じ情報を共有したり、声のトーンを真似したりしながら、やりとりを楽しみます。ことばのやりとりもことばがないやりとりもコミュニケーションという意味では同じあり、このような人と人との交流の延長線上に、ことばが出現してきます。
気になる子どものサイン
□大きな音が鳴ってもびっくりしない
□呼びかけに反応しない
□目が合いにくい
□模倣がない
□指さしがない
□指をさされてもそちらを見ない
□1歳半頃に「わんわんどれ?」といったことばの理解が難しい
□コミュニケーションをとることが難しい
ことばの遅れってどういうこと?
ことばの理解や発語が同年齢の子よりも遅れることをいいます。遅れというと良くないことのように感じますが、ことばで表現するために必要な4つのこと①聴覚に問題がなく②言われていることが理解でき③声を出し④人とやりとりを楽しもうとする姿が見られる場合は、ゆっくり発達するタイプのお子さんだっただけで、3歳頃には他の子に追いついていくということも少なくありません。
家でことばを出す練習をした方がいいですか?
子どもにことばを無理に言わせようとするのは、人と関わりたいという意欲をなくし、かえってお話したくなくなってしまうので、やめた方がいいでしょう。
では、どのように接したらいいですか?
子どもの育ちのペースを尊重しながら、親子でコミュニケーションを楽しむといいでしょう。子どもにとってわかりやすい、ゆっくりとしたことばかけ、ことばの量、声の高さ、表情を見せて、話すための土台をしっかり固めてあげてくださいね。
さいごに
ことばを話すために必要な4つの力(聴覚・理解力・発語力・コミュニケーション意欲)をお伝えし、ことばの遅れをどう捉えたらよいのかお話してきました。この時期の発達は個人差が大きく判断に迷うこともあるかもしれませんが、もしお子さまから気になるサインが出ていると感じたら、一人で抱えこまず、健診時やかかりつけの医師に一度相談してみてくださいね。